OpenTelemetry コントリビューターエクスペリエンスサーベイからの知見

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OpenTelemetry Contributor Experience SIG は先日サーベイを実施し、プロジェクトへの貢献がどのようなものか、そしてコントリビューターエクスペリエンスを改善するために何ができるかをコミュニティから学びました。 Contributor Experience Survey では、プロジェクトの組織体制、SIG への貢献、リーダーシップ委員会とのやり取り、イベントへの参加について、コントリビューターの意見を尋ねました。 120件の回答が寄せられ、47すべての Special Interest Group(SIG)から声が届きました。 このフィードバックを活用して、OpenTelemetry への貢献をより簡単で実りあるものにしていきます。 サーベイに参加してくださったすべての方に心から感謝します! それでは結果を見ていきましょう。

主なポイント

このサーベイは、プロジェクトがどう改善できるかを知るために実施しました。 ここでは、コントリビューター向けに改善できる領域とともに、主な学びを紹介します。

  • 始め方: 新しいコントリビューターの48%が、始め方を十分に把握できていません。 SIG 内・SIG 間のコミュニケーションや貢献ガイドの改善が必要です。
  • SIG ミーティング: コントリビューターの82%が SIG ミーティングを有用だと感じています。 ミーティングへの出席は、プロジェクトの進め方や貢献方法に関する知識の向上と相関がありますが、ミーティングに求められる同期性を好まない人もいます。
  • ワークフロー: 半数以上のコントリビューターが、自分の貢献に対してタイムリーなフィードバックを受けていません。 また、プロジェクトツールの使いにくさやゲートキーピングのボトルネックも経験しています。
  • プロジェクトとサブプロジェクトの優先事項: OpenTelemetry のリーダーシップ委員会の優先事項を十分に把握していると自信を持って言えるメンテナーは半数未満です。 コントリビューターもまた、サブプロジェクトの優先事項を見つけるのが難しいと述べています。
  • イベント: コントリビューターは、トークよりもコラボレーションに重点を置いた対面イベントをもっと望んでいます。

詳細な知見

合計42の質問を含むこのサーベイは、OpenTelemetry のコントリビューターエクスペリエンスの幅広い領域をカバーしました。 このセクションでは、回答を分析し、学んだことをまとめます。

一部のカテゴリではサンプルサイズがかなり小さいため、誤差の範囲が大きくなっています。 可能な限り、回答数を括弧内に記載しました。

分析にあたっては、自己申告データをそのまま真実として扱い、「同意する」と「強く同意する」の回答を合算し、「同意しない」と「強く同意しない」も同様に合算しました。 したがって、たとえば「SIG ミーティングに出席しているコントリビューターは、どの SIG でも貢献の始め方を知っている可能性がはるかに高い」と述べる場合、それは SIG ミーティングに定期的に出席していることに 同意または強く同意した コントリビューターが、貢献の始め方を知っていることに 同意または強く同意する 可能性が高いことを意味します。

回答者について

45人のメンテナーを含む120人のコントリビューターから回答があり、各 SIG から少なくとも1人のコントリビューターが参加しました。 回答者の詳細は以下のとおりです。

  • 63%がオブザーバビリティベンダーに勤務しています。
  • 20%が貢献を始めてから6か月未満です。
  • 86%が北米(45%)または EMEA(41%)に居住しています。 これらの数字は、devstats の国別統計を地域別に分類した算出結果の39%と43%にほぼ一致します。
  • 43%が自分の時間を使って貢献しています。
  • 71%が OpenTelemetry Organization のメンバーです。

プロジェクトの組織体制

コントリビューターに、OpenTelemetry プロジェクトの組織面・運営面についてどう感じているかを尋ねました。 始め方を知っているか? 自分で問題を解決できるか? SIG ミーティングは有用か?

OpenTelemetry のような大規模なオープンソースプロジェクトで始め方を知ることは難しいことです。 プロジェクトのオンボーディングプロセスがどの程度機能しているかを確認するために、参加してから2年未満の最も新しいコントリビューターに注目しました。 このカテゴリの56人の回答者のうち、半数をわずかに上回る人が、どの OpenTelemetry SIG でも始め方を知っています。 しかし、新しいコントリビューターの48%は始め方を十分に把握できていません。 プロジェクト全体で貢献ガイドラインの改善が進められていますが、OpenTelemetry のコントリビューターオンボーディングエクスペリエンスには明らかに改善の余地があります。

新しいコントリビューターが始め方を知っている割合を示す100%積み上げ行チャート

オンボーディングエクスペリエンスを改善する方法の一つとして、新しいコントリビューターに SIG ミーティングへの参加を促すことが考えられます。 質問に回答した人のうち、82%が SIG ミーティングを有用だと感じています。 さらなるサーベイ分析でも、ミーティングの有用性が確認されました。

たとえば、SIG ミーティングに定期的に参加しているコントリビューターは、どの SIG でも貢献の始め方を知っている可能性がはるかに高いことがわかりました。

ミーティング参加者のうち始め方を知っている割合を示す積み上げ棒グラフ

SIG ミーティングへの出席には、ほかの利点もあるかもしれません。 出席者は、どの提案が採択される可能性が高いか、また自分が望むように貢献する方法を知っている傾向があります。

ミーティング参加者と非参加者の、どの提案が採択されるか、望む貢献の方法、問題解決能力を知っている割合を示す棒グラフ

SIG への貢献

OpenTelemetry のようなオープンソースプロジェクトへの貢献には、コントリビューターとレビュアーの双方の時間が必要です。 タイムリーなフィードバックの提供に関してプロジェクトがどの程度うまくいっているかを評価するために、サーベイ回答者に経験を尋ねました。 回答者のうち半数未満(98件の回答中48件、49%)がタイムリーなフィードバックを受けています。 これらの回答を、プロジェクトの意思決定の徹底度に対するコントリビューターの評価と比較すると、以下のヒートマップが得られます。 タイムリーなフィードバックが得られた場合、意思決定が十分に徹底的であると感じる可能性が高いと大まかに結論づけることができます。 しかし、このデータの分析は重要な点を提起します。オープンソースプロジェクトにおけるタイムリーなフィードバックの妥当な基準が何であるかがわかっていません。 ほかのオープンソースプロジェクトにもコントリビューターサーベイを実施し、そのコントリビューターのエクスペリエンスを OpenTelemetry コントリビューターのエクスペリエンスと比較できるようにすることを推奨します。

タイムリーなフィードバックの受領に関する質問の回答と、意思決定プロセスの徹底度に関する質問の回答を比較するヒートマップテーブル

サーベイでは、コントリビューターが最終的に自分自身とユーザーの問題を解決できたかどうかを尋ねました。 これらの回答をコントリビューターの在籍期間と比較しました。 結果は、在籍期間が2年未満の新しいコントリビューターのほうが、問題を解決できている割合が高いことを示しています。 新しいコントリビューターの77%に対し、経験豊富なコントリビューターは65%です。

新しいコントリビューターと経験豊富なコントリビューターが問題を解決できる割合を示す積み上げ棒グラフ

自由回答形式の質問には多くの思慮深い回答が寄せられました。

「プロジェクトの組織体制やあなたの貢献経験について、何か追加のコメントはありますか? OTel のコントリビューターエクスペリエンスに追加または変更してほしいことはありますか?」

回答は大まかに4つのカテゴリに分類されました。 ツール、コミュニケーションとドキュメント、ミーティング、ワークフローです。

ツール

  • リポジトリにはもっと自動化が必要です。
  • ビルドプロセスは SIG やリポジトリ間で統一されるべきです。
  • 一部のリポジトリでは CI プロセスが煩雑で、承認が遅い場合は何度も繰り返し実行する必要があります。
  • リリースノートを精査するかわりに、コード変更を追跡するための信頼できる唯一の情報源が必要です。

コミュニケーションとドキュメント

  • すべての SIG が SIG Comms と連携し、公式ドキュメントをすべてのリファレンスや教材のための中心的な場所にすべきです。
  • ほとんどの貢献ガイドは改善が必要です。
  • Collector にコンポーネントを貢献するための良い「始め方」の資料がありません。
  • サブプロジェクトの優先事項が不明確で、リポジトリのイシューが多く、見つけにくく理解しにくいため、新しいコントリビューターはどう役立てるか、どう価値を加えるかがわかりません。 一部のコントリビューターは、アップストリームに貢献するかわりにフォークを作成することを選んでいます。
  • どの SIG に提案すべきかが不明確で、コントリビューターが SIG をたらい回しにされることがあります。

ミーティング

  • SIG ミーティングに参加できない、または参加しにくいと感じている人がいます。
  • わかりやすいイシューや PR を進めるためにミーティングが必須であるべきではありませんが、多くの場合、それが作業を前進させる唯一の方法のようです。
  • 非同期作業を好む人にとって、ミーティング主導の意思決定は問題があります。

ワークフロー

  • 負荷が高いサブプロジェクトやコンポーネントはメンテナーを増やすべきです。 貢献エクスペリエンスをできるだけポジティブで歓迎的なものに保つことは、新しいプロジェクトリーダーを採用する良い方法です。
  • 負荷が高いリポジトリは書き込み権限の調整を検討すべきです。
  • レビューや議論が非常に遅く、おそらく必要以上に徹底的です。
  • 少数の SIG リーダーによるゲートキーピングが進捗を遅くしています。

メンテナー、Technical Committee、Governance Committee

OpenTelemetry のメンテナーはサーベイ回答者全体の37.5%を占めました。 リーダーシップの役割での貢献経験について報告を求めました。 どの程度自律性を感じているか? SIG を仕様に準拠させるための作業はどの程度あるか? Technical Committee や Governance Committee からサポートされているか?

メンテナーは高い自律性を感じていると報告しています。 1(低い)から5(高い)のスケールで、自律性を3未満と評価した人はおらず、89%が4または5と評価しました。

メンテナーがプロジェクトの自律性についてどう感じているかを示す3、4、5の評価数の棒グラフ

SIG の OpenTelemetry 仕様への準拠について回答した43人のメンテナーのうち、16人が自分の SIG は仕様を実装していないと回答しました。 残りの27人は、自分の SIG をほぼ準拠していない、ほぼ準拠している、または完全に準拠していると評価しました。 ほぼ50%がプロジェクトはほぼ準拠していると回答しています。

プロジェクトがほぼ準拠していない、ほぼ準拠している、完全に準拠していると主張するメンテナーの数を示す棒グラフ

メンテナー回答者の3分の2(44人中29人)が Technical Committee または Governance Committee とやり取りしたことがありますが、そのうち半数未満がリーダーシップ委員会の優先事項を把握しています。

メンテナーがリーダーシップの優先事項を知っているかどうかの質問に対する各回答の割合を示す積み上げ行チャート

Technical Committee および Governance Committee に関するほかの質問への回答は、このブログ記事とは別にまとめて分析中です。 近い将来、公開チャネルで OpenTelemetry のメンテナーと委員会に結果を発表する予定です。

イベント

プロジェクトを成長させるためにどのようなイベントが有用かを、回答者に自由記述で尋ねました。 32人のコントリビューターが回答し、ほぼ全員が対面イベントをもっと望んでいると答えました。 また多くの人が、トークを聞くよりもお互いにコラボレーションする時間に使いたいと指定しました。 回答を大まかに6つのカテゴリに分類しました。 一部の回答は複数のカテゴリに該当しました。

各イベントカテゴリに該当する回答数を示す棒グラフ

また、クラウドネイティブ技術の主要カンファレンスである KubeCon + CloudNativeCon への過去および今後の参加についてコントリビューターに尋ねました。 初の KubeCon Japan が2025年6月に開催されたことで、KubeCon は中国、ヨーロッパ、インド、日本、北米の5つのカンファレンスになりました。 KubeCon イベントにおける OpenTelemetry コントリビューターの参加状況について学んだことを紹介します。

世界各地域の回答者の半数以上が、過去に KubeCon に参加したことがあるか、今後参加する予定です。

いずれかの KubeCon イベントに参加したことがあるか、参加を予定している回答者の割合
居住地域別

アジア、太平洋諸島、オーストラリア、ニュージーランド(14)中央アメリカ、カリブ海地域、南アメリカ(7)ヨーロッパ、アフリカ、中東(65)北アメリカ(56)
71%57%71%64%

どの KubeCon カンファレンスが開催地域外からより多くの OTel 参加者を集めているかを知りたいと考えました。 インドと日本の KubeCon カンファレンスについては合計5人の回答者しかいなかったため、以下の比較には含めていません。 ただし、5人の回答者全員が APAC 以外の地域出身であったことは興味深い点です。 残りの3つのカンファレンスのうち、KubeCon North America がほかの地域から渡航する OpenTelemetry コントリビューターの割合が最も高くなっています。

カンファレンスと同じ地域からの参加者とほかの地域からの参加者の割合を示す棒グラフ

KubeCon イベントに参加したことがあるか今後参加する予定の回答者の中で、自分の地域で開催される OpenTelemetry コントリビューター限定の専用イベントに対する関心は非常に高く、73人中63人(86%)がそのようなイベントに参加すると回答しました。 一方、KubeCon に参加したことがなく参加予定もない回答者は、自分の地域での専用コントリビューターイベントへの関心がわずかに低く、46人中34人(74%)が参加すると回答しました。

最後のイベントに関する質問を1つ分析しました。 KubeCon + CloudNativeCon に参加したことがある場合、OpenTelemetry Observatory、Contribfest、メンテナートラックセッションなどの OpenTelemetry アクティビティに参加しましたか? カンファレンスに参加したことがある、または参加予定の73人の回答者のうち、53人(73%)が少なくとも1回は OTel 固有のイベントにも参加したことがあると回答しました。

少なくとも1回は OTel 固有のカンファレンスイベントにも参加したことがあるカンファレンス参加者の数を示す棒グラフ

サーベイへのフィードバック

最後に、サーベイ自体についてのフィードバックを回答者に求めました。 複数回寄せられた回答の一つは、特定のサブプロジェクトについて質問に回答したりフィードバックを提供したりする方法がほしいというものでした。 このリクエストに対応するために、今後のサーベイでの提供を検討します。

さらに詳しく

詳細な結果については、匿名化されたサーベイの回答を参照してください。

あなたのフィードバックは不可欠です

サーベイに参加してくださったすべての方に改めて感謝します! あなたのフィードバックは、OpenTelemetry の今後の発展を導き、進化するニーズに応え続けるために不可欠です。 以下のチャネルを通じてつながり、今後のサーベイについて知ることができます。